おしらせ

Priv.主催セミナー

〜身近な問題となっている食物アレルギーへの対策〜

今回は2014年2月16日に開催しました、「食物アレルギーセミナー 〜基礎知識と緊急時対応〜」についてお送りします。

皆さんは現在、全国に食物アレルギーを持ちながら生活している子どもたちがどのくらいいるかご存じでしょうか。 2013年12月16日に文部科学省から「学校生活における健康管理に関する調査」という中間報告が発表されました。 中間報告によると、全国の公立小中高の児童生徒10,153,188人のうち、食物アレルギーを持つ児童生徒は453,962人(4.5%)。食物アレルギーを持つ児童生徒のうち、アナフィラキシーショックを発症したことのある児童生徒は49,855(11%)人いるということが分かりました。 2007年に行われた調査では児童生徒12,773,554人のうち、329,423人(2.6%)が食物アレルギーを持つという調査結果が出ました。 これは6年間で食物アレルギーを持つ児童生徒が37.8%増加したことになり、今後も増えることが予想されます。
今回はそんな身近な存在である「食物アレルギー」の基礎知識とアナフィラキシーショックを発症してしまった場合の緊急時対応を学ぶことを目的として、一般社団法人救急救命士連携ネットワーク(以下、Priv.)主催、医療機関と連携し小児のアレルギー疾患に関する活動を行っている特定非営利活動法人ALサインプロジェクト様の共催でセミナーを開催致しました。
講師は日本のアレルギー疾患の診療と研究の中心拠点である相模原病院に勤務されている浅海智之医師です。
全国から受診に訪れる重篤な患者さんたちを診療するアレルギー外来、食物負荷試験、経口免疫療法、エピペン指導を日常業務としていらっしゃいます。
セミナーには救急救命士をはじめ、看護師、管理栄養士、養護教諭、ライフガード、一般の方と大変多くの方々にご参加いただきました。これだけの多職種の方々にご参加いただいたことから、食物アレルギーは注目されているテーマであることがうかがえます。
講義では、食物アレルギーの定義・発症機序から、疫学、社会の取り組み、検査方法、治療法、緊急時対応、実際の症例等々、内容の濃い講義となりました。参加者の方々も真剣に聞き入りながらも必死にメモを取っていました。
実習では緊急時にアドレナリン自己注射薬(エピペンR)を使用することを想定し、練習用のエピペントレーナーを用いて使用方法、使用上の注意点等を学びました。
参加した皆さんは実際にエピペンだけではなく、エピペントレーナーも使用したことがない方がほとんどでした。
また、使用期限の切れたエピペンを用いての練習も行い、エピペントレーナーとの重さの違い等、感じることができました。
「エピペントレーナーよりも押す力が必要。」
「刺した後のバネの反動が強いので、しっかりと押さえないとブレてしまいそう。」
などの感想も上がっていました。
2014年4月からは教職員がエピペンを扱えることを目指した研修の拡充や強化、DVD教材の作成、より使いやすい簡易版ガイドラインの作成も始まりました。
また、給食などで特別な対応が必要な子どもに関しては、医師の診断に基づく「学校生活管理指導表」の提出を原則義務化するなど、国も食物アレルギー対策に増々力を入れています。
意識がない、呼吸がない傷病者への胸骨圧迫とAEDの使用は資格を持たない一般の方でもできる、命を救う手段のひとつです。また、食物アレルギーやハチによる刺傷によってアナフィラキシーショックを起こしてしまった傷病者へ必要に応じてエピペンを使用することができる人が増えると救える命も増やすことができます。
民間の救急救命士として心肺蘇生法の指導と同じように、アナフィラキシーショックへの対応の指導も行うなど一般の方に近い立場での講習を開催してくと共に、指導ができる救急救命士の育成にも力を入れていきたいと考えています。
今回のセミナーを開催するにあたり、特定非営利活動法人ALサインプロジェクト様に多大なるご協力を頂きました。この場をお借りして深く御礼申し上げます。ありがとうございました。